サンタとラフィン・スキッド



 最近、サンフランシスコの"笑うイカ"プロダクション(ラフィン・スキッド・プロダクションhttp://www.laughingsquid.com/)の代表でもあるスコット・ビールさんと電子メールのやりとりをしている。ホームページを見てもらえばわかるように、アンダーグラウンドのコテコテのアーティストの集まりがホームページとなったよう感じだ。ぼくはアンダーグラウンドというと、楽しくて、明るくて愉快なものというイメージが強いが、そこでスコットさんと通じあうところができた。彼が最近一番おもしろいことはサンタだというので、ホームページを見ると、なんとサンタクロースが女性のスカートの中に手を入れたりして遊んでいるではないか。ユーモアなのだ。とことんおもしろかった。

 そんなスコットさんにメールでインタビューしてみたので、ぜひ読んでほしい。

まず"笑うイカ"という名前から聞いてみた。

「会社を"笑うイカ"っていうおかしな名前にしたのは、ユーモアこそ重要なものだから。ぼくはいつも、人が覚えやすいへんてこな名前とビジュアルをつくるのが好きだ。郵便局にいくたびに、働いている人に必ず聞かれる、"笑うイカ"というのはなんなのかって。名前は好奇心を刺激するでしょ」

 ふーむ、なるほど、日本のヘナヘナ新聞とか、ああいうミニコミの感覚にそっくりではないか。日米同時進行でこういうおもしろいものをやってくれる人がいるのは心強い。

"笑うイカ"の仕事は「アンダーグラウンドなアート・イベントを宣伝するのが"笑うイカ"だ」とスコットさんはいう。アンダーグラウンドのアートに宣伝なんてないのが普通だが、彼はそれを始めたのだ。これでイベント関係から始まって、ホームページをつくってお金にしているのだから楽しそうだ。日本でもできないのだろうか。

 彼は宣伝のためにホームページだけじゃなくて、アルファ・スキッド(http://www.laughingsquid.com/alphasquids/) というメーリング・リストをつくっている。アルファ・スキッドは1日2、3通のサンフランシスコ・ベイエリアのアングラ・イベントの情報が流される。

 考えると日本でも自分たちでCDをつくって、ホームページをつくって仕事にしている連中は多いが、アングラ・イベントの宣伝という部分にしぼりこんだ連中はいない。商業的なホームページ制作が収入源だというが、アングラをきっかけに会社を運営しているようで、日本でもできそうな気がする。

 さて、そろそろ本題のサンタの話を聞いてみよう。スコットさんの話をまとめるとこうなる。サンタ・クラブ・イベントの歴史は1994年にサンフランシスコの連中が"安いサンタスーツ"というイベントを開いたのが始まりで、95年には約100人のサンタが、集まって5つ星のホテルに行き、ハードロック・カフェに行き、デパートにくり出し、しかも信号にサンタをつるしてみせたりした。このビデオはぼくも持っているが、デパートに100人のサンタが集まってエレベーターや階段を走り回り、2階から物を投げたり、やりたい放題をくりひろげてけっこう笑えるものだった。デパートにとってもいい宣伝になるだろう。アルバイトにサンタを雇わなくても、勝手にサンタクロースがおおぜい来てくれるのだから、願ったりかなったりだ。96年はポートランドでサンタ・イベントを開催し、全米の大都市から集まったサンタは、カラオケに行き、ローラー・スケートをやり、ストリップに行き、パンク・ロックのクラブにくりだした。でも、ポートランドの一番大きなショッピング・モールに入ろうとしたとき、暴動鎮圧用の装備で身をかためた機動隊に出くわして、通りをはさんで警官たちと向かい合ってクリスマス・キャロルを歌ったそうだ。

「去年のサンタ・イベントはロスでおこなわれた。ほかにポートランド、シアトル、ヒューストン、アトランタでもおこなわれて、サンタ・イベント自身が生命を持ったようだった。今年は誰が、どこの都市が参加してくるかわからないぐらい流行りそうな勢いなんだ。アトランタのサンタ・クラブはぼくのつくったサンタルキー・イン・ザ・USA(http://www.laughingsquid.com/santa/)に直接影響を受けて、ぼくのページを見たあと、アトランタで自分たちのサンタ・イベントをつくることに決めたようだ」

 サンタの主張は「クリスマスの楽しさをもう一度つくろう」ということだとスコットさんは語る。

「ぼくたちは楽しい時間を過ごし、人々を笑わせただけだ。100人のサンタが、やってくると、街中に歓声と拍手がまき起こる。サンタ関連イベントは疑いもなく全米で発生するだろう。ひょっとするとアメリカだけじゃないかもしれない。注目!」

 ユーモアを大事にするアンダーグラウンドこそ未来だといいたい。今年のサンタ・イベントは日本のお茶の間でも楽しめるニュースになるかもしれない。ユーモラスな楽しさこそアンダーグラウンド。

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